IT導入補助金との違いはどこにある?

令和5年度補正予算で創設され、令和6年度からスタートした注目の「中小企業省力化投資補助金」。
本補助金がカタログに掲載された製品を対象とすることから、仕組み上既存のIT導入補助金と似ているとも言えます。しかし、制度を細かく比較すると両者の違いが浮かびあがります。
今回は、現時点でわかっている中小企業省力化投資補助事業の概要とIT導入補助金との違いを解説します。

IT導入補助金の特徴

IT導入補助金は、中小企業を対象として業務効率化やDX等を達成するためのソフトウェア、アプリ、サービスなどITツール導入をサポートする制度です。

業務の効率化、労働時間短縮化、販路拡大などを通して、労働生産性向上を目的としています。

IT補助金は、補助対象としてはソフトウェアやシステムといったITツールとなっており、大きく次の3つの枠があります。

    1. 通常のITツールを導入する通常枠(A類型/B類型があります)
    2. サイバー攻撃に対するリスク低減を目指すセキュリティ対策推進枠
    3. インボイス対応を考慮した会計ソフト等の採用や、複数の事業者が連携するIT導入を対象としたデジタル化基盤導入類型

中小企業省力化投資補助金とIT導入補助金との違い①-公募スケジュール

中小企業省力化投資補助金
➡随時申請受付

令和6年度にスタートした本補助金は、物価高騰と人手不足に悩む中小企業に対して、IoT、ロボット、AI等、人手不足解消に効果がある設備投資に対する補助金です。カタログに登録された設備を導入し、省力化をはかることを目的としています。公募は随時申請受付となっています。

IT導入補助金
➡申請期間が設けられている

IT導入補助金は平成28年度から実施されている補助制度です。年度によって回数は異なりますが、申請期間は複数回設けられています。

令和6年度については、2024年2月16日~2024年7月30日に申請期間が設けられ、以降については未定です。

中小企業省力化投資補助金とIT導入補助金との違い②-対象業種

中小企業省力化投資補助金

物価高騰と人手不足に悩む個人事業主や中小企業に対して、IoT、ロボット、AI等、人手不足解消に効果がある設備投資に対する補助金です。公式サイトでは、自動清掃ロボットや自動配膳ロボットなど例として挙げられており、作業負担の削減に即効性のある設備が選ばれているため、同様の製品が効果を発揮する下記のような業種が対象となると思われます。

    • 製造業
    • 宿泊・介護などのサービス業
    • 物流・倉庫業界
    • 建設業

IT導入補助金

IT導入補助金は飲食、宿泊、卸・小売、運輸、医療、介護、保育といったサービス、製造業や建設業等が対象となっています。

中小企業省力化投資補助金とIT導入補助金との違い③-投資規模と補助金額

項目 採択率 補助率

中小企業省力化投資補助金

  • 従業員5人以下:200万円(300万円)
  • 6~20人:500万円(750万円)
  • 21人以上:1,000万円(1,500万円)

 ※()内は賃上げ要件を達成した場合

1/2

IT導入補助金

通常枠(A類型)

5万円~150万円未満

1/2

通常枠(B類型)

150万円~450万円以下

1/2

デジタル化基盤導入(ソフトウェア等)

下限なし~50万円

3/4

50万円~350万円

2/3

デジタル化基盤導入(ハードウェア)

30万円以下

1/2

セキュリティ対策推進枠

5万円~100万円以下

1/2

中小企業省力化投資補助金とIT導入補助金との違い④-対象設備

「中小企業省力化投資補助金」と「IT導入補助金」の対象設備について、以下の違いがあります。

中小企業省力化投資補助金
➡ 事前に公表された機械装置等のカタログに記載されたものに限定

カタログ型省力化補助金は、省力化設備として国が指定する機械装置等の導入を支援する制度です。対象となる設備は、事前に公表された機械装置等のカタログに記載されたものに限定されます。

具体的な例としては、

    • 工場で使われる産業用ロボット
    • 従業員の労働負担を低減できる自動清掃ロボットや自動調理ロボット
    • 物流・倉庫における省人化に資する自動搬送ロボットや積み下ろしロボット
    • 建設業界で行われている点検や測量を自動化するロボット
    • 高齢化が進む農業の業務効率化に貢献できる自動走行トラクタ

IT導入補助金
➡ 事前に公表されたITツールに登録されたものに限定

IT導入補助金は自社の課題やニーズに合ったITツール、サイバーセキュリティを向上させるためのソフト、インボイス対応に必要な会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフト、複数社での導入するITツールなどが対象となっています。