製品カテゴリに5軸制御マシニングセンタが追加!

令和6年度からスタートした「中小企業省力化投資補助金」。順当に新しい製品カテゴリが追加されていく中、10月21日、金属加工業者にとって待望の工作機械カテゴリ「5軸制御マシニングセンタ」が登場しました。
今回は、5軸制御マシニングセンタ導入に際し、省力化補助金をどのように利用できるか、掘り下げて解説していきます。

5軸制御マシニングセンタ導入の動機となる「深刻な人手不足」

製造業界において、最も大きな課題のひとつとされているのが少子高齢化社会によって深刻度を増す「人手不足」です。一般的に、金属加工などの「ものづくり」の現場では職人の熟練技能が必須とされるものの、その教育には「熟練技能者から若手へ目と手で伝える」体制がとられてています。しかし人手不足により、若手の育成が間に合わず技術継承が完遂されないうちに熟練技能者が高齢によって退職を迎えてしまっているのが現状です。

今回製品カテゴリに加わった「5軸制御マシニングセンタ」は、金属加工等製造業界の現場で、「省力化」を実現するための強力なパワーを発揮する設備となります。このため、業界課題である「人手不足」の解決に、「5軸制御マシニングセンタ」が製品カテゴリに加わった「省力化投資補助金」は大いに活用ができます。

5軸制御マシニングセンタ導入にあたっての課題

公式サイトの製品カタログにも記載のあるとおり、5軸制御マシニングセンタは、通常の「3軸制御」に2軸が加わることでより複雑な動きを可能とします。このため、従来人手が介入していた「段取り作業」等が飛躍的に削減できるメリットがあります。

しかし、その分高価でシステム構成が複雑な設備であるため、

  • 導入コストが高い
  • 操作が複雑であるため技術者に特殊スキルを要する

という課題が生じます。

この課題の内、「導入コストが高い」については、「中小企業省力化投資補助金」を活用することで、解消することができます。

公式サイト 製品カテゴリ一覧より「c:5軸制御マシニングセンタ」抜粋

5軸制御マシニングセンタ導入にどのように省力化投資補助金を活用できるか?

それでは、具体的にどのように補助金を活用できるのか、2つの点から見ていきます。

製品の価格と導入費用の目安

公式サイトで公開されている製品カテゴリには「2500万円程度から導入可能」と記載されています。2024年11月5日時点では、このカテゴリの登録製品がゼロであるため、具体的にどのようなメーカーのどの型の製品が製品カタログに登場するのかは不明です。一般的に、5軸制御マシニングセンタの価格帯は性能や規模によって大きく異なり上位の価格帯では1億に及びますが、補助金の上限値が最大1500万円であることから考えても製品カタログにはおそらく、小価格帯~中価格帯が登録されることが予想されます。

<参考:省力化投資補助金>

従業員数と上限値

 ※()内は賃上げ要件を達成した場合

補助率
  • 従業員5人以下:200万円(300万円)
  • 6~20人:500万円(750万円)
  • 21人以上:1,000万円(1,500万円)
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「製品の置き換え」の可能性もある

省力化投資補助金開始直後は、原則として製品の置き換えは補助対象外となっていましたが、2024年9月公式サイトで「今後は、一部機能・性能を有している省力化製品については、置き換えであっても交付申請が可能」と発表されました。2024年11月現在、置き換えが可能な製品カテゴリは「券売機」と「スチームコンベクションオーブン」の2つのみですが、「今後、置き換え可能な製品カテゴリは追加していく予定」と記載があることから、5軸マシニングセンタでも可能性はあります。

対象製品カテゴリは、公式サイトの「製品カテゴリ一覧」に掲載がされますので、今後の情報に要注目です。

5軸制御マシニングセンタカテゴリに登録される製品の予想と、様々な工作機械への展開が期待

5軸制御マシニングセンタ製品の想定メーカー

2024年11月時点で、5軸制御マシニングセンタカテゴリの登録製品はありませんが、工作機械の三大メーカーをはじめ、日本を代表するマシニングセンタメーカー五社の製品登録が予想されます。

  • オークマ株式会社
  • DMG森精機株式会社
  • ヤマザキマザック株式会社
  • 株式会社牧野フライス製作所
  • キタムラ機械株式会社
  • ファナック株式会社

省力化投資補助金では初の「工作機械工業会」のカテゴリ

新カテゴリ「5軸制御マシニングセンタ」ですが、現時点での登録製品はありません。これから各工作機械メーカーによる申請後、「一般社団法人日本工作機械工業会」による審査を経てカタログに製品が登録されていくため、若干の時間を要します。

今回の「5軸制御マシニングセンタ」の審査を担当する工業会は、省力化投資補助金では初となる「一般社団法人日本工作機械工業会」です。

今回5軸制御マシニングセンタを皮切りに、他の工作機械の製品カテゴリ登録がおおいに期待できますので、動向に要注目です。

新カテゴリ「c:5軸制御マシニングセンタ」の製品がカタログに登録されるまで

5軸制御マシニングセンタの製品が実勢にカタログ登録されるまで、今後どのような手順が踏まれるのか見ていきます。

【製品カタログに製品登録されるまで】

  1. 工業会による申請を経て「製品カテゴリ」が登録 ◀現時点
  2. 製造事業者による申請「機器審査依頼」
  3. 各審査を経て、工業会により証明書が発行
  4. 製造事業者による申請「製造事業者登録申請」と「製品登録申請」
  5. カタログ登録へ
カタログ登録フロー(公式サイトより)

補助金を申請する企業が、申請が可能となるのは製品がカタログに登録以降となりますので、もう少し期間を必要とします。